MENU

股関節屈筋の筋力発揮が著しく抑制されていた症例

2019-01-09

本来腸骨筋の浅層を下行するはずの大腿神経の内側広筋枝が、腸骨筋と腸骨関節包筋との間に挟まれていたために、股関節屈筋の筋力発揮が著しく抑制されていた症例

長いタイトルになってしまいましたが、立位で股関節屈曲30-45程度を保持できないような屈筋の筋力低下を認める症例を経験しました。
 
 
屈曲最終域の痛み、インピンジメントテスト、画像所見からFAIもありそうです。しかし、それだけでは軽度屈曲位における屈筋の筋力低下を説明することはできません。屈曲筋力は全体的に弱いのですが、角度によって筋力が異なるので単純な筋力低下とは異なると判断されました。
 
 
まず、他動運動の痛み軽減と可動域拡大のために、股関節周囲の癒着のリリースを進め、屈曲120から140°くらいに改善し、もう少し屈曲時の詰まりが残っていたのが骨頭の正面、腸骨筋深層でした。
 
  
通常であれば、腸骨関節包筋の表層をこするようにして腸骨筋を内側にリリースすれば簡単に筋間の滑走性が得られますが、この症例では腸骨筋深層に異物を触知。少し近位にたどると神経であることがわかったので、まずこの神経を外側に引き出し(救出し)、その上で腸骨筋を内側に向けてリリースしました。
 
 
数年間、改善しなかった屈曲時の違和感が解消されて、いつもの脱力感がないという違和感に慣れるのに時間を要するほどでした。

※こちらの記事は、株式会社GLAB代表の蒲田和芳のFacebookより転載しております。
カートを見る