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産後の尾骨周囲の痛み

2018-09-03

数年前のドバイでの国際腰痛・骨盤痛学会のワークショップで、尾骨変形の治療について1日かけて学びました。その際は、自験例が少なかったので理解度は不十分だったのですが、産後の尾骨周囲の痛みを経験するに連れてよく理解できるようになりました。


尾骨骨折と思われているもの(尾椎の変形)の大部分は尾椎関節の変形であり、骨折というよりも靭帯損傷を伴うものが多い。このためある程度の矯正も可能とのことです。私は尾骨の変形の矯正は行いませんが、それ以外の治療でも症状改善は可能です。


次に、変形はわずかでも痛みが継続する例も意外に多いことが分かってきました。産後の痛みは「仕方がない」と諦めざるを得ないと思っている女性が多いこともありますが、正確な病態分類がなされていないことも事実です。
 
  
僅かな自験例ですが、尾骨周囲の痛みを治療結果から分類すると以下のようになります。 
   
1)仙骨傾斜による尾骨一側への荷重
 左仙結節靭帯と大殿筋が癒着すると、仙骨は前額面で右傾斜(尾骨は左へ偏位)し、水平面で右回旋します。その結果、椅子座位では尾骨の右側に荷重が集中します。この接触部位が痛い場合、そして接触により尾椎に曲げ応力が加わって尾椎の靱帯へのストレスによる痛みが生じる場合があります。治療としては、仙骨アライメントを修正して、荷重位地を正中線上に戻すことが必要となります。
   
 
2)大殿筋と尾骨の癒着
 尾骨に外傷が起こると、その治癒過程で大殿筋と尾骨の癒着が起こることがあります。大殿筋のリリースにより痛みが軽減するので、因果関係の特定は容易となります。 
 
  
3)尾椎神経の癒着
 これも2)と同様に外傷後などに尾椎から出る神経がその周囲の筋や骨と癒着して起こる痛みです。この神経が刺激されるメカニズムとしては、1)のような直接の荷重、そして荷重による尾椎への曲げ応力などがあります。治療としては、神経のリリースが有効です。
 
 
4)尾骨だと思っていたが実はその側方の痛みである場合
 尾骨の側方には肛門挙筋・尾骨筋と内閉鎖筋が接し、また内閉鎖筋と仙結節靭帯、またそのそばには陰部神経があります。これらは、坐位での圧迫や外傷後に癒着を生じ、慢性的な痛みが生じることがあります。やはり、筋間や神経のリリースが有効です。
 
 
5)仙腸関節からの放散痛など
 上記のようなメカニズムであれば圧痛点が明確に触知されますが、尾骨付近に圧痛がまったく見つからない場合は放散痛を疑います。痛みが会陰部にも広がる場合は会陰神経の癒着が考えられます。
 
 
私が経験した範囲では以上のような分類ができます。これら以外にもいろいろな病態はあると思いますが、上記の病態分類だけでも多くの症例をカバーできると思われます。もちろん、事前の画像検査は不可欠ですが、画像所見がない場合は、丁寧に触診すると上記のような分類ができるはずです。
  
  
ISR周産期ケアにおいて、尾骨周囲の疼痛治療も含めるか迷っていますが、初級編としてはやや難易度が高いかもしれません。


現在、発売準備中の座椅子「リアライン・チェア」はこのような尾骨への負担を減らすように設計されています。尾骨に荷重せずに座ることで、普段の痛みは大幅に改善できる可能性があります。6月4日まで ReadyFor でクラウドファンディングを行っていますので、是非ともご協力ください。


※こちらの記事は、株式会社GLAB代表の蒲田和芳のFacebookより転載しております。
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