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重度な後大腿皮神経障害と挫滅マッサージ

2018-11-11

主訴は下肢後面のしびれ(異常感覚)で仕事が終わって帰宅時には歩行困難になるくらいの強い症状を訴える症例です。右股関節の関節鏡手術後から症状が出現し、増悪してきました。また股関節前面の癒着も著明で、常に違和感と痛みがあります。


後大腿皮神経を、大殿筋上から触れると、その深層の外旋筋とのあいだで癒着としびれの再現が得られ、それを遠位に辿ると半腱様筋上で、坐骨結節から15cmほど遠位にまでしびれの再現と癒着が確認されました。
 
 
次に、大殿筋をめくるようにすると、大殿筋深層の広範囲強い癒着があり、さらにしびれの再現や放散痛も「激痛」レベルでした。それを丁寧にリリースしていくと梨状筋上までリリースが得られ、一応症状の寛解が得られました。
 
 

症状が少し良くなってめでたし、という話ではありません。実は、股関節鏡後のリハにおいて、PTの肘による挫滅マッサージが鼡径部や殿部に執拗に行われ、股関節前外側の術創部からの出血が起こったとのことです。これが殿部の癒着を引き起こすほど広範囲の内出血であったかどうかわかりませんが、少なくとも股関節前面の癒着の一因になったことは間違いありません。
 
 
上記の話はとても信じられないことではありますが事実のようです。そして、肘を使った挫滅マッサージは何度も繰り返されたため、術後の症状は増悪し、治療後には歩けなくなることもあったようです。術後Ⅰ年以上経過しても、神経障害性疼痛に対する薬を伸び続けなければならない状態にあります。あまりにも無配慮な治療に、同業者としてとても申し訳ない気持ちでいます。
 
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