ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 臨月の仙腸関節痛 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 妊娠後期・臨月であっても普通の仙腸関節痛として治療できます。「妊娠中だから骨盤は弛い、弛いから治せない」という先入観を持った時点で、治療者としては思考停止に陥ります。今回、妊娠36週の仙腸関節痛の治療経験を紹介します。治療の結果、以下のような効果が得られました。 <以下,本人コメント> 昨晩はとても快適に眠ることができました! 寝返り、ブリッジも全く痛みがなく、痛みで目が覚めることもありませんでした。治療前、自分ではあまり気になっていませんでしたが、寝返りの際の、股関節の動きもすごく楽な気がします。つまった感じもないですし、屈曲内転時に骨盤への負担も全く感じません。 妊娠中の仙腸関節の痛みの原因が骨盤輪の「弛み」であったとしても、非妊娠者の「弛み」と大きく異るわけではありません。また本格的に弛くなるのは出産2週間前で、それまでは十分に対応可能なのです。そして骨盤の歪み(マルアライメント)は幾つかのパターンに分類され、それを修正する方法があるということについても妊娠者と非妊娠者とで大差ありません。すなわち、非妊娠者の仙腸関節痛と同様に,骨盤アライメントをしっかりと把握し,原因因子とマルアライメントの治療によるメカニズムの治療,そしてその後に残る結果因子の治療をすれば症状は改善します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 妊娠32週の骨盤後面痛 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 妊娠32週には骨盤後面の痛みのために、寝返りができない状態でした。仰向けから脚を挙げようとしたり、体をひねって横にむこうとするだけで激痛が走るとのことで、私の産前ケアを受けに来られました。 精密触診によって発痛源を探索したところ、中殿皮神経という皮膚の神経に痛みがありました。この神経は仙骨から外側に向かう神経なので、仙腸関節が開くことによって引っ張られて痛みを作ることがあります。しかし、この方の場合は骨盤後面の仙腸関節が開いた状態ではなく、安定した状態でした。むしろ、妊娠後期に入って殿部の皮下脂肪が増えてきて皮神経が引っ張られて起こった可能性が強いと考えました。 ■症状と骨盤の状態 ・主訴:左仙腸関節痛(中殿皮神経痛) ・アライメント:仙骨が左傾斜し、仙骨の下方にある尾骨は右に移動している状態でした。仙骨が傾くことによって仙腸関節のは押し広げられてしまうため、仙腸関節をまたぐ中殿皮神経は引っ張られてしまいます。 痛みの原因を、骨盤の「弛み」ではなく仙骨の傾斜を含む「歪み」にあると判断しました。加えて、皮下脂肪の増加による皮下のファシアが引っ張られ、中殿皮神経が引っ張られていることと想定されました。そこで、治療としては、仙骨の傾きの修正、中殿皮神経の癒着のリリースの2つに絞りました。 ・治療: 1)右仙結節靱帯・大殿筋間のリリースにより仙骨アライメントが改善。 2)左中殿皮神経のリリースにより主訴が消失。(ただし、ブリッジの際の疼痛が残存) 以上のように、組織間リリースによって徒手的に仙骨の傾斜の原因となっている殿部の癒着のリリースを行い、その後に中殿皮神経をリリースしたところ、中殿皮神経の痛みは解消されました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 妊娠36週における骨盤後面痛 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 32週の時点で骨盤後面の痛みを消失させることができました。しかし、臨月(36週)に入り、また骨盤後面の痛みが出てきました。さすがに臨月に入ってからの骨盤の痛みなので、いわゆる「弛み」を想定すべきです。しかし、だからといって快適な生活を諦める必要があるかどうかということには直結しません。どの程度の改善が見込めるかは、骨盤の弛みや歪みを精密に把握した上で判断すべきことです。 ■骨盤の状態 ・主訴:両仙腸関節痛(右>左) ・不安定性(弛み):徒手的に動かそうとしても可動性の増大は認められず、「弛んでいるとは言えない」状態と判断しました。 ・アライメント:仙骨右傾斜(尾骨左偏位)、左寛骨内旋、右寛骨前傾といった骨盤の歪みが認められました。 以上にように、36週であっても骨盤には「歪み」があり、「弛み」は認められませんでした。皮膚の上からの触診で歪みを正確に判定するのは簡単ではありません。また誤った判断を下してしまうこともあります。そのようなエラーを無くすためには、歪みを判定した上で、歪みを矯正するように手で骨盤を固定した状態での痛みの変化を確認します。骨盤上部が開いていると判断した場合には、骨盤上部を内側に押し込んで開きを矯正した状態での痛みの変化を調べます。歪み矯正を行うリアラインテストによって痛みが軽減した場合には、歪みの判断が正しかったことが裏付けられることになります。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 治療 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 仙骨は右に傾き、左右の寛骨が内旋(前部が内側に閉じ、後部が外側に開いた状態)であると判断しました。これを矯正するリアラインテストで痛みの軽減が得られました。専門的になりますが、以下のように骨盤の歪みを作っている筋肉などの癒着をリリースし、上記で判定した歪みを改善させることができました。それとともに、痛みが軽減され、冒頭に記載したコメントのような効果が得られました。 ■治療: 1)右仙結節靱帯・大殿筋間のリリースにより仙骨アライメントが改善。 2)両縫工筋・長内転筋間、鼠径靱帯・大腿静脈/動脈のリリースにより、PSIS間距離が短縮 3)右鼡径部の大腿神経・小殿筋/外側広筋、腸骨関節包筋・関節包とのリリースにより右寛骨前傾が改善 4)両長後仙腸靭帯、両中殿皮神経のリリースにより疼痛解消 ■治療後のコメント 昨晩はとても快適に眠ることができました! 寝返り、ブリッジも全く痛みがなく、痛みで目が覚めることもありませんでした。治療前、自分ではあまり気になっていませんでしたが、寝返りの際の、股関節の動きもすごく楽な気がします。つまった感じもないですし、屈曲内転時に骨盤への負担も全く感じません。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー まとめ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この4週間の主な変化として、PSIS間距離の開大が顕著で、両仙腸関節に痛みが出現していました。ASIS間距離の開大は認められなかったため、寛骨内旋による仙腸関節へのストレスが原因と推測しました。臨月に、水平面のアライメント変化が優位に起こるのが一般的かどうかはわかりませんが、少なくともこの段階は十分に治療可能なレベルであり、もうしばらくは快適な睡眠と歩行を得ることができそうです。 出産に向けて仙腸関節が弛んでくることはある意味当然かも知れませんが、それに対する治療としては「少し仙腸関節が弛い人」に対する治療と同様に考えれば良いということになります。つまり、骨盤の前面を内側に引く縫工筋を弛めることにより、仙腸関節へのストレスを軽減させるに十分なアライメント変化が得られました。その後に行った結果因子としての長後仙腸靭帯と中殿皮神経の痛みについても、一般的な仙腸関節痛と同様の症状であるとともに、同様の治療効果が得られました。 ただし、経験上38週以降は明らかな弛みが生じてくるので、治療効果は限定的です。その場合は、痛みを軽減させることよりも、出産に伴う骨盤のダメージを最小限に留めることを目標とした治療に切り替えます。すなわち、左右の仙腸関節と恥骨結合が均等に動く状態を確保し、どれか一つの関節に重度のダメージが起こりにくい骨盤に誘導していきます。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 産後の骨盤のお悩みにはリアライン・コアがオススメです。 また、肋骨の変形にもご使用できます。 リアライン・コアは、骨盤と肋骨を理想的な位置関係に整えながら筋肉を 鍛えることができる運動補助具です。 アスリート、産後の女性、腰に不安のある方など 多数のユーザーがおられますので、安心してご使用ください。 1週間単位での レンタル も可能です。 レンタルのお申込みはこちらから https://realine.info/realine/rental-flow ------------------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------------------ ■リアライン・コアの購入はこちら https://realine.info/realine/all#productCore ■リアライン・チェアの購入はこちら https://realine.info/realine/all#productChair ------------------------------------------------------------------------------------------
新型コロナ感染の影響でテレワークが求められている方も多いことと思います。意外にも、自宅のイスやテーブル、パソコン作業で体調を崩す人が多く、中でも首や肩のこり、腰痛に悩んでいる方が多いようです。今回のイマなま出演では、このような方のために、自宅でできる簡単なファシアケアとストレッチについて紹介させていただきました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (1)ファシアとは ファシアとは、以前は筋膜と呼ばれたもので、鶏肉の皮をめくるとみえる白っぽい薄皮のようなもの。実際には皮膚と筋肉の間や筋肉の間、さらには内臓や脳の中にもあります。体の臓器の部屋を作ったり、隙間を埋めたりするもの、と考えるとよいでしょう。 ファシアの中でも、最も浅いところにあるのが皮膚と筋肉の間にある「浅層ファシア」や「深層ファシア」です。圧迫や締付け、炎症などが起こると、これらのファシアが硬くなり、皮膚や筋肉の動きが制限されます。肩こりで筋肉が硬くなるのは、ファシアが滑りにくくなっている状態と深い関連があります。 (2)有効なファシアケア 硬くなったファシアを治すにはどうすればよいのでしょうか? ボールなどでごろごろする通称「筋膜リリース」や次の日にも痛みが残るようなゴリゴリのマッサージはファシアの硬さを悪化させてしまいます。ときには筋肉を潰して損傷させたり、筋肉の奥にある神経を潰してしまったりと、不調を悪化させる可能性もあります。一言でいうなら、 「ファシアを柔らかくするには潰してはだめ! 滑らせよう」 というメッセージを発信させていただきました。 (3)ファシアケアを受けたい方へ ファシアケアの方法としては以下のようなものがあります。 ①軽 症: 自分で皮膚をつまみながらストレッチ ②中等症: 専門家によるファシアケア(組織間リリース) ③重 症: 注射で生理食塩水を流し込んでファシアを剥がす治療(ハイドロリリース) 番組内では①をいくつか紹介しました。 ① 上記の①は視聴者の方(医療職ではない方)でも自分で試してみることができます。皮膚をつまんだ時点で痛かったり、つまみながら近くの関節を動かして痛い場合は、ファシアが硬くなっています。そのような場合、つまみながらストレッチを繰り返すと、徐々にファシアの動きが回復していく場合があります。摘んだときの皮膚の痛みが消えていくので、ご自分でもすぐに分かるでしょう。 ② 蒲田が行っている方法は、指先でファシアの癒着を剥がす治療法で、「組織間リリース」といいます。これまで2000人ほどのセラピストに教えてきましたので、全国に組織間リリースの使い手がおられます。これを習得するには、セミナーを受講し、その技術を数カ月間使い続ける必要があります。これは医療職(セラピスト)向けのセミナーですので、一般の視聴者の方が受講されてもなかなか習得はできないでしょう。蒲田は、東広島市で「アスリートケア」、「産後ケア」という枠組みで、組織間リリースを使ったファシアケアを行っています。関西や関東からもプロスポーツ選手が治療に来たり、あるいは近隣の方も来られます。ご希望の方は、以下にご登録ください。 ファシアケアご依頼フォーム: https://forms.gle/kyaY7vB8bwLGcY686 遠方の方には組織間リリース習得したセラピストをご紹介することはできますので、 LAB@realine.info 宛にお問い合わせください。 ③ これは主に整形外科やペインクリニックで使われている方法です。薬を使うのではなく、生理食塩水で剥がすだけなので、副作用の心配がありません。うまくいくと、劇的に痛みが消えます。ハイドロリリースを行っている施設をご紹介できますので、お困りの方は LAB@realine.info 宛にお問い合わせください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ■美容目的のファシアケアについては以下をご参照ください。 https://pando.life/glab http://www.nhk.or.jp/beautyscience-blog/2020/171/426625.html ■体の歪み対策のリアライン商品については以下のページをご覧ください。 https://realine.info/realine/all ■番組でテーブルの上にあった黒色の座椅子はリアライン・チェアといいます。骨盤の歪みを整えて、デスクワークでの腰の不調を軽減します。 https://realine.info/realine/chair
組織間リリースを用いたアスリートのコンディショニングの実例を紹介します。組織間リリースは拘縮治療、疼痛治療だけでなく、繰り返しのスポーツ動作での負荷の分散、可動域改善、動作の安定性(再現性)、そしてトータルでパフォーマンス向上に必要なすべての組織の癒着を解消させます。1年に一度は、全身コンディショニングを行うと、思い通りの動きを保つことができます。 キャンプでのハードワークで腰のハリが強くなってきたという主訴でした。対症療法(1)でとりあえずの痛みを解消させますが、下肢から上肢にかけての運動連鎖を妨げる要因が多数あるので、運動連鎖全体の制限因子をすべて解決するようにしました(2-6)。ちなみに実施時間は1時間でした。これからシーズンインに向けて調子を上げてくれることでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1)左背筋の痛みに対して ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・腰部で多裂筋と最長筋の間の癒着を割って入るようにリリース ・下部胸郭において、最長筋と腸肋筋の間の癒着をリリース 以上により、背筋の痛みが改善し、前屈の柔軟性が改善しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2)背部全体の緊張、肩可動域に対して ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 肩から上背部にかけての滑走不全は、フォロースルー時に腰部へのストレスを増大させる一因となります。肩甲上腕関節、肩甲骨、上背部(胸郭)の可動性を改善するために以下を実施。 ・僧帽筋下部線維を、その深部の棘下筋、腸肋筋、広背筋などからリリース。特に広背筋との間のリリースによって肩甲骨の運動が改善 ・肩甲骨外側で、広背筋と前鋸筋のリリース、広背筋と大円筋のリリースをおこない、肩甲骨の上方回旋を改善 ・外転可動域、内旋可動域を改善するため、腋窩神経と三角筋、上腕三頭筋外側頭、長頭、関節包(腋窩陥凹)とのリリース ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3)左殿部の癒着 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本人も自覚しているように、左股関節の屈曲・内旋制限がありました。特に坐骨神経が前額面、矢状面で遠回りしているのを改善することで、十分な可動域を獲得しました。 ・坐骨神経と上双子筋、内閉鎖筋、下双子筋、大腿方形筋の癒着のリリース ・坐骨神経が内閉鎖筋レベルで外方に偏位していたので、大転子滑液包や大腿方形筋に対して内側に向けて移動させるようにリリース(前額面での近道) ・大腿方形筋の深部に癒着があり、下方に偏位していたため、股関節屈曲時に坐骨神経が遠位に遠回りしていました。大腿方形筋を上方に向けてリリースし、近道させました。 ・大腿後面で、大内転筋と半膜様筋や坐骨神経の癒着をリリース。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 4)大腿外側の痛み ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フォロースルーで左脚での一脚支持において腸脛靭帯の遠位部の痛みを感じるとのこと。裂隙から近位10cmの腸脛靭帯後縁に癒着による痛みがありました。またその前方で、外側広筋深層で、大腿神経外側広筋枝の癒着がありました。 ・腸脛靭帯と外側広筋のリリース(前縁、後縁) ・外側広筋の深層で、大腿神経外側広筋枝をリリース ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 5)左脇腹・左鼡径部 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フォームを少し変えて、体感回旋を強く使うようにしているとのことで、左腸骨稜に沿って痛みがありました。外腹斜筋と内腹斜筋の間、そして腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経にそって痛みがありました。 ・腸骨稜に沿って腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経のリリース。 ・鼠径靱帯の下で、腸骨鼠径神経のリリース ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 6)ワインドアップの右片足立ちの安定性に対して ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 右片足立ちが安定しないとのことで、触診したところ、股関節おw少し内旋すると小殿筋が前方に異常に膨隆していました。 ・大腿筋膜張筋、中殿筋・滑液包・小殿筋、関節包、頸部の脂肪体などをリリースし、股関節内旋位での鼡径部外側の筋の不自然な膨隆を解消
骨盤底筋の中でも左右方向に向いている浅会陰横筋は、坐骨間の距離を調節していると思われます。坐骨を接近させることは骨盤底筋を弛ませて、排泄を容易にしている可能性があります。しかし、この浅会陰横筋が骨のように固くなっている人がとても多いのが現実です。そして浅会陰横筋の過緊張は、本来の坐骨の接近・離開という機能を失わせる可能性があります。 その原因として、単純に椅子坐位生活にあると思われます。正座は骨盤底筋を圧迫しない座り方の一つですが、椅子坐位では例外なく骨盤底筋が圧迫されます。これが浅会陰横筋と会陰神経などの癒着を引き起こしている可能性があります。 浅会陰横筋の過緊張は、以下のような影響をもたらすと思われます。 (1)仙腸関節上部の離開 坐骨の接近は仙腸関節上部の離開を引き起こします。これにより仙腸関節痛や多裂筋の過緊張を引き起こす可能性があります。腰仙部の多裂筋の過緊張があるとき、それは結果因子であり、その過緊張に対する対症療法は仙腸関節の離開を増強させる可能性があります。つまり、腰が張っているとき腰部の筋を弛めてはいけないということになります。一方、その原因因子として外転筋群と浅会陰横筋であり、これらの治療を先行させることが必要と思われます。 (2)出産への影響 ホルモン等の影響により、出産時にいろいろな組織が弛みますが、この浅会陰横筋がどの程度緩むか、そしてどの程度坐骨間の距離を拡大できるのかはよくわかっていないと思われます。出産前に浅会陰横筋を十分に弛め、坐骨間距離を拡大しておくことは出産の困難さを軽減する可能性があります。 (3)排泄への影響 坐骨間距離が拡大することで、腸骨尾骨筋の緊張が得られ、尿道括約筋や肛門括約筋の機能の向上が得られる可能性があります。逆に、坐骨が接近すると腸骨尾骨筋は弛み、失禁リスクが高まる可能性があります。 骨のように固くなった浅会陰横筋を柔らかくするのは容易ではありません。関連する筋としては、球海綿体筋、坐骨海綿体筋、深会陰横筋があります。加えて、頭にあるように、会陰神経の枝が浅層と深層において浅会陰横筋と交差し、癒着しています。したがって、この神経と筋を一つずつリリースしていく技術が求められます。
過去にバレーボールを経験したママ(産後1年)さん。寝返りや後屈で右上殿部から腰部外側の疼痛がありました。 右上殿部の触診で,腸骨下腹神経の外側皮枝の疼痛であることを確認。次に,背臥位で腹部から腰方形筋前面を触診したところ,下腹部と右上殿部に放散痛が生じる神経の癒着を発見。さらにこれを内側にたどり,大腰筋と腰方形筋との間に挟まれるように癒着していました。 腹臥位で上殿部の外側皮枝の癒着をリリースして同部位の痛みが解消され,次に腰方形筋前面,大腰筋後面での神経の癒着をリリースして,全ての疼痛が消失しました。 この腸骨下腹神経の障害をこの1ヶ月で3例経験しました。これまで相当数を見逃し,適切な治療を起こっていなかったのだろうを想像されます。 セミナー情報はこちら ◆お知らせ◇ --------------------------------------------------------------------------------- 肋骨の変形に悩んでおられる方へ --------------------------------------------------------------------------------- 肋骨の変形でお悩みの方には、 リアライン・コア をお勧めします。 コレは、骨盤と肋骨を理想的な位置関係に整えながら筋肉を 鍛えることができる運動補助具です。 アスリート、産後の女性、腰に不安のある方など 多数のユーザーがおられますので、安心してご使用ください。 1週間単位での レンタル も可能です。 レンタルのお申込みはこちらから https://realine.info/realine/rental-flow ---------------------------------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------------------- <関連セミナー:オンライン動画> 産前・産後ケアにフォーカスしたセミナーシリーズをオンライン動画で公開しております。 ※サービスのご利用は有料の会員登録が必要になります。 ■KOKOKARA.ONLINE:産前・産後RPC2021 オンライン動画はこちら https://kokokara.online/categories/RPC2021 ----------------------------------------------------------------------------------
セミナー中に大腿神経,腸骨筋,腸骨関節包筋など鼡径部の組織を完璧にリリースしたはずなのに,3日コース終了後に鼡径部の違和感,股関節伸展制限を訴える受講者がいました。セミナー直後でこの症状を残して帰ってもらうわけにはいかず,探索してみることにしました。 最初に大腿神経を疑って,鼠径靱帯から近位にたどってみたところ,腸骨筋上で強い痛みを伴う癒着があり,さらに大腰筋を貫き,その後方に至るまで痛みがありました。これらをリリースし,大腰筋に対して神経の滑走性を確保したところ,主訴は消失しました。 初めて大腿神経を近位にたどってみたのですが,膀胱や子宮周囲の触診に慣れて来ていたので,大腿神経を腰椎までしっかりたどることができました。局所の損傷のない鼡径部の違和感,痛み,神経障害と遭遇した際は,骨盤内での大腿神経の癒着の関与を疑う必要がありそうです。
全身の関節疾患治療を学べる人気セミナー、クリニカルスポーツ理学療法(CSPT)の広島開催が決定いたしました。 今回は、リアライン・コンセプトの総論(治療の設計図)とその実現のための精密触診・組織間リリースの技術を習得するイントロダクションを学んだ上で、骨盤・胸郭の機能低下の改善、そして最終的に腰痛・骨盤痛の治療法を習得できる4日間となっております。 ◆クリニカルスポーツ理学療法(CSPT):広島会場 ◇日時・内容 ■第1回 9月1日(日): イントロダクション リアライン・コンセプト治療の設計図、精密触診・組織間リリースの基礎 ■第2回 11月3日(日): 骨盤 骨盤マルアライメントの病態、評価、運動療法(リアライン・コア含む)、組織間リリース ■第3回 1月26日(日): 胸郭 胸郭マルアライメントの病態、評価、運動療法(リアライン・コア含む)、組織間リリース ■第4回 3月15日(日): 腰痛・骨盤痛 腰痛・骨盤痛の病態評価、原因因子から治療プランの組み立て、運動療法、結果因子への組織間リリース ◇講習時間 9:30-16:30 ◇場所 朝日医療専門学校広島校 701教室 JR山陽本線「西広島駅」より徒歩5分 広島電鉄「広電西広島駅」より徒歩3分 お申込みは こちらから CSPT東京会場のお申込みも好評受付中! 詳細は こちら みなさまのご参加をお待ちしております。
今日のゴルフ中継で、 上田桃子プロ がパッティング練習でオレンジ色の2本のベルトを備えた器具を使っていました。これは株式会社GLABが販売している「リアライン・コア」という器具です。正確な情報をお伝えするために、リアライン・コアについて説明したいと思います。 ■リアライン・コアとは リアライン・コア は、骨盤と胸郭(肋骨)を左右対称な状態に近づけるように圧迫する器具です。医療器具ではありません。しかし、骨盤と胸郭を左右対称な状態に近づけることは、背骨の動きを改善したり、股関節や肋骨の動きを改善したりできるため、腰に不安のある人などにも愛用されています。 リアライン・コアの兄弟分で、 リアライン・コア・リハブ (インターリハ株式会社)という商品があります。これらはほとんど同じ構造ですが、リハブの方は医療機器としての認可を得ており、腰痛治療器具として整形外科などで用いられています。 ■リアライン・コアとゴルフ 2013年にリアライン・コアが発売されて間もなく、ゴルファーのトレーニング指導をされている団体やトレーナーの方に目をつけていただき、ゴルファーの腰のコンディショニングに使用されるようになりました。上田桃子プロも、ゴルフ専門のトレーナーの方からの紹介で使い始めたそうです。 上田プロ以外では、片山晋呉プロ、金田久美子プロが愛用されていることでも有名です。お二人とも、腰痛から復活優勝されたときに新聞に取り上げられ、ゴルフ界に話題になりました。もう引退されましたが、茂木宏美プロも愛用者の1人で、出産後の復帰の際にも出産で弛んだ骨盤を整える上で役立てていただきました。ツアープロではありませんが、マーク金井さんも愛用者の1人です。 6月に開催されるアース・モンダミンカップでは、例年リアラインブースが出展されており、非常に多くの女子プロゴルファーにお試しいただいています。その効果もあって、腰に不安を持つ女子プロはいち早く導入される方が増えてきました。 ■リアライン・コアと他のアスリート リアライン・コアを愛用したプロ野球選手として真っ先に思い出すのは 杉内俊哉 (ジャイアンツ)、内海投手(ジャイアンツ→西武)、川崎宗則選手、吉田正尚選手、 吉田正尚 、それ以外にも数十人の個人ユーザーがいます。 他のスポーツでは、角田信朗師範(格闘家、ボディービルダー)、井岡一翔選手(プロボクサー )、飯塚翔太(400mリレー、リオ五輪)、右代啓祐(十種競技、リオ五輪旗手)、本橋 麻里(カーリング)など。 ■リアライン・コアSIとは? SIとは仙腸関節という意味です。これは骨盤の後ろ側にある関節で、これが不安定になると腰痛が起こったり、足で踏ん張ることができなくなってアスリートとしては致命的です。 リアライン・コアSI は、既存のリアライン・コアを改良し、より骨盤にフィットし、骨盤の安定性を高めることを目的に開発されました。骨盤に不安のある人にとっては、SIは最高のパートナーとなっています。 ■開発者 リアライン・コアを開発したのは、リアライン・コンセプトというトレーニングや治療の設計図を提唱している 蒲田和芳 教授(広島国際大学)です。アトランタオリンピックやシドニーオリンピックでは選手団本部医務班の理学療法士として帯同するなど、アスリートのリハビリを専門としています。リアライン・コア以外にも、インソール、ソックス、レッグプレス、バランスシューズなど、体の歪みを治すための運動器具や補装具を開発し、株式会社GLABを通じて販売しています。現在は、アスリートだけでなく、妊娠中や産後の女性の骨盤痛の治療、体の癒着を剥がす新しい治療法である「組織間リリース」の開発者としても知られています。 ■アマチュアゴルファーの方へ リアライン・コアは、個人でもご購入いただけるように、腰の状態を改善する器具としてはたいへんお安い値段で入手することができます。品薄状態が続いているため、ご予約されることをお勧めします。ご予約、お問い合わせはshop@realine.infoにメールをお願い致します。
写真は、ASISの5cm遠位、1cm内側に指先を置き、大腿直筋を外側に移動させ、脂肪体と大腿神経(大腿直筋枝)に対して弾発法で触診をしている場面です。右寛骨前傾位で、右仙腸関節周囲に痛みがあったので、右鼡径部の癒着のリリースを行おうとしているところです。 まず、大腿直筋の内側で神経を弾発法で軽くはじくことにより、大腿直筋と腸骨筋の間を下行する組織が神経であることを確認します。神経独特の硬さが感じられ、腱や血管ではないことは鮮明にわかります。 弾発法を含む触診技術については フェイスブック にアップした動画を参照。 大腿直筋深層のリリースをするならこの神経の外側から入ります。腸骨筋深層を内側に向けてリリースするなら、この神経の内側から入り、iliocapsularis(IC)の表層に触れてから内側に向けて腸骨筋をリリースします。 ICのリリースは以前とは異なる方法で行うようになりました。以前は、この神経を外側に十分移動させてからICと神経との間に入り、その上でICの深層に入っていきました。しかし、脂肪体上の神経を外側にリリースするのがちょっと手間なので、現在では、腸骨筋を内側に移動させ、ICの内側から関節包との間に入るほうが簡単だということがわかってきました。 深層のリリースを正確に行うコツは、「深さ」と「角度」をぴたりと組織間に合わせること。少しでも深さがずれてしまうと、癒着の存在そのものに気づくことができません。
遠征のたびに腰の張りを訴えるアスリートとそのケアにあたるトレーナーのために・・・ アスリートの皆さんの中には、長時間の移動を伴う遠征のたびに腰部の張りを訴えて、遠征先のホテルに着くやいなやトレーナールームに駆け込んで順番待ち、という方が多いと聞きます。深夜に到着して、それからケアを行うトレーナーもたいへんですし、アスリートも寝不足になって試合前のコンディションを悪化させることにもなりかねません。 遠征の疲れの原因は、長時間の椅子座位での骨盤の歪みかもしれません。坐骨部のカーブにより、椅子座位では坐骨が中央に近づくように回転します。その結果、仙腸関節上部には離開するストレスが生じ、多裂筋の防御的な緊張を生み出します。これが遠征時の腰の張りの原因の一つです。 このような問題を解決するための座椅子を開発しました。これまでの測定で、この座椅子に座ると坐骨の中央への接近が防がれ、仙腸関節上部の離開が予防できることを裏付けるデータが得られつつあります。 このたび、座椅子の開発の最後の段階で、量産化のための金型の経費が400万円ほどかかります。これに対して、 クラウドファンディング を通じてご支援をお願いしております。アスリートの皆さん、またチーム関係者の皆さんのお困りの症状を改善しうるプロジェクトですので、何卒ご支援賜りますようお願いいたします。