新型コロナ感染の影響でテレワークが求められている方も多いことと思います。意外にも、自宅のイスやテーブル、パソコン作業で体調を崩す人が多く、中でも首や肩のこり、腰痛に悩んでいる方が多いようです。今回のイマなま出演では、このような方のために、自宅でできる簡単なファシアケアとストレッチについて紹介させていただきました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (1)ファシアとは ファシアとは、以前は筋膜と呼ばれたもので、鶏肉の皮をめくるとみえる白っぽい薄皮のようなもの。実際には皮膚と筋肉の間や筋肉の間、さらには内臓や脳の中にもあります。体の臓器の部屋を作ったり、隙間を埋めたりするもの、と考えるとよいでしょう。 ファシアの中でも、最も浅いところにあるのが皮膚と筋肉の間にある「浅層ファシア」や「深層ファシア」です。圧迫や締付け、炎症などが起こると、これらのファシアが硬くなり、皮膚や筋肉の動きが制限されます。肩こりで筋肉が硬くなるのは、ファシアが滑りにくくなっている状態と深い関連があります。 (2)有効なファシアケア 硬くなったファシアを治すにはどうすればよいのでしょうか? ボールなどでごろごろする通称「筋膜リリース」や次の日にも痛みが残るようなゴリゴリのマッサージはファシアの硬さを悪化させてしまいます。ときには筋肉を潰して損傷させたり、筋肉の奥にある神経を潰してしまったりと、不調を悪化させる可能性もあります。一言でいうなら、 「ファシアを柔らかくするには潰してはだめ! 滑らせよう」 というメッセージを発信させていただきました。 (3)ファシアケアを受けたい方へ ファシアケアの方法としては以下のようなものがあります。 ①軽 症: 自分で皮膚をつまみながらストレッチ ②中等症: 専門家によるファシアケア(組織間リリース) ③重 症: 注射で生理食塩水を流し込んでファシアを剥がす治療(ハイドロリリース) 番組内では①をいくつか紹介しました。 ① 上記の①は視聴者の方(医療職ではない方)でも自分で試してみることができます。皮膚をつまんだ時点で痛かったり、つまみながら近くの関節を動かして痛い場合は、ファシアが硬くなっています。そのような場合、つまみながらストレッチを繰り返すと、徐々にファシアの動きが回復していく場合があります。摘んだときの皮膚の痛みが消えていくので、ご自分でもすぐに分かるでしょう。 ② 蒲田が行っている方法は、指先でファシアの癒着を剥がす治療法で、「組織間リリース」といいます。これまで2000人ほどのセラピストに教えてきましたので、全国に組織間リリースの使い手がおられます。これを習得するには、セミナーを受講し、その技術を数カ月間使い続ける必要があります。これは医療職(セラピスト)向けのセミナーですので、一般の視聴者の方が受講されてもなかなか習得はできないでしょう。蒲田は、東広島市で「アスリートケア」、「産後ケア」という枠組みで、組織間リリースを使ったファシアケアを行っています。関西や関東からもプロスポーツ選手が治療に来たり、あるいは近隣の方も来られます。ご希望の方は、以下にご登録ください。 ファシアケアご依頼フォーム: https://forms.gle/kyaY7vB8bwLGcY686 遠方の方には組織間リリース習得したセラピストをご紹介することはできますので、 LAB@realine.info 宛にお問い合わせください。 ③ これは主に整形外科やペインクリニックで使われている方法です。薬を使うのではなく、生理食塩水で剥がすだけなので、副作用の心配がありません。うまくいくと、劇的に痛みが消えます。ハイドロリリースを行っている施設をご紹介できますので、お困りの方は LAB@realine.info 宛にお問い合わせください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ■美容目的のファシアケアについては以下をご参照ください。 https://pando.life/glab http://www.nhk.or.jp/beautyscience-blog/2020/171/426625.html ■体の歪み対策のリアライン商品については以下のページをご覧ください。 https://realine.info/realine/all ■番組でテーブルの上にあった黒色の座椅子はリアライン・チェアといいます。骨盤の歪みを整えて、デスクワークでの腰の不調を軽減します。 https://realine.info/realine/chair
組織間リリースを用いたアスリートのコンディショニングの実例を紹介します。組織間リリースは拘縮治療、疼痛治療だけでなく、繰り返しのスポーツ動作での負荷の分散、可動域改善、動作の安定性(再現性)、そしてトータルでパフォーマンス向上に必要なすべての組織の癒着を解消させます。1年に一度は、全身コンディショニングを行うと、思い通りの動きを保つことができます。 キャンプでのハードワークで腰のハリが強くなってきたという主訴でした。対症療法(1)でとりあえずの痛みを解消させますが、下肢から上肢にかけての運動連鎖を妨げる要因が多数あるので、運動連鎖全体の制限因子をすべて解決するようにしました(2-6)。ちなみに実施時間は1時間でした。これからシーズンインに向けて調子を上げてくれることでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1)左背筋の痛みに対して ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・腰部で多裂筋と最長筋の間の癒着を割って入るようにリリース ・下部胸郭において、最長筋と腸肋筋の間の癒着をリリース 以上により、背筋の痛みが改善し、前屈の柔軟性が改善しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2)背部全体の緊張、肩可動域に対して ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 肩から上背部にかけての滑走不全は、フォロースルー時に腰部へのストレスを増大させる一因となります。肩甲上腕関節、肩甲骨、上背部(胸郭)の可動性を改善するために以下を実施。 ・僧帽筋下部線維を、その深部の棘下筋、腸肋筋、広背筋などからリリース。特に広背筋との間のリリースによって肩甲骨の運動が改善 ・肩甲骨外側で、広背筋と前鋸筋のリリース、広背筋と大円筋のリリースをおこない、肩甲骨の上方回旋を改善 ・外転可動域、内旋可動域を改善するため、腋窩神経と三角筋、上腕三頭筋外側頭、長頭、関節包(腋窩陥凹)とのリリース ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3)左殿部の癒着 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本人も自覚しているように、左股関節の屈曲・内旋制限がありました。特に坐骨神経が前額面、矢状面で遠回りしているのを改善することで、十分な可動域を獲得しました。 ・坐骨神経と上双子筋、内閉鎖筋、下双子筋、大腿方形筋の癒着のリリース ・坐骨神経が内閉鎖筋レベルで外方に偏位していたので、大転子滑液包や大腿方形筋に対して内側に向けて移動させるようにリリース(前額面での近道) ・大腿方形筋の深部に癒着があり、下方に偏位していたため、股関節屈曲時に坐骨神経が遠位に遠回りしていました。大腿方形筋を上方に向けてリリースし、近道させました。 ・大腿後面で、大内転筋と半膜様筋や坐骨神経の癒着をリリース。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 4)大腿外側の痛み ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フォロースルーで左脚での一脚支持において腸脛靭帯の遠位部の痛みを感じるとのこと。裂隙から近位10cmの腸脛靭帯後縁に癒着による痛みがありました。またその前方で、外側広筋深層で、大腿神経外側広筋枝の癒着がありました。 ・腸脛靭帯と外側広筋のリリース(前縁、後縁) ・外側広筋の深層で、大腿神経外側広筋枝をリリース ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 5)左脇腹・左鼡径部 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フォームを少し変えて、体感回旋を強く使うようにしているとのことで、左腸骨稜に沿って痛みがありました。外腹斜筋と内腹斜筋の間、そして腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経にそって痛みがありました。 ・腸骨稜に沿って腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経のリリース。 ・鼠径靱帯の下で、腸骨鼠径神経のリリース ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 6)ワインドアップの右片足立ちの安定性に対して ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 右片足立ちが安定しないとのことで、触診したところ、股関節おw少し内旋すると小殿筋が前方に異常に膨隆していました。 ・大腿筋膜張筋、中殿筋・滑液包・小殿筋、関節包、頸部の脂肪体などをリリースし、股関節内旋位での鼡径部外側の筋の不自然な膨隆を解消
「四十肩」や「五十肩」という言葉はいつ頃から使われるようになったのでしょうか。病院や治療院で働いているセラピストの皆さんは、この言葉を頻繁に耳にすることでしょう。そして、その治療の難しさを感じている方も多いはず。今回はそんなセラピストの皆さんの為に、肩甲上腕関節の可動域制限に対する組織間リリースについて書きたいと思います。 ■ 可動域治療 一般的に肩関節の拘縮は、骨折や脱臼などの外傷後に続発するものや、肩関節周囲炎をはじめとする炎症と変性に起因すると言われています。これらの拘縮は、肩関節周囲の各組織間の癒着や瘢痕等によって生じます。 しかし、肩関節の拘縮であっても、患部のみを治療するのではなく、全身をととのえていく必要があると考えられます。どのレベルで問題が生じているのか、丁寧に評価し、同時に治療します。簡単に手順をまとめると以下の様になります ① 骨盤安定性: 骨盤のマルアライメント、force closureの不良の改善 ② 胸郭可動性: 広背筋や腹筋群の癒着、胸郭可動性の改善 ③ 肩甲胸郭可動性: 肩甲骨の内外側・内上角等の滑走性の改善 ④ 肩前面の癒着:大胸筋や小胸筋などの前面の癒着改善、腕神経叢と各組織との癒着改善 ⑤ 肩甲上腕関節の可動性: 後部・腋窩部・前部・上部の滑走性の改善 理論上は、これらの問題をすべて解決することで、高校生のようなしなやかな肩が蘇ります。しかし、その「すべて」を解決することは容易ではありません。特に、肩甲上腕関節周囲には多数の筋腱や神経が交差し、互いに癒着しやすいことから、とても手間と時間のかかる治療になります。以下では、特に肩甲上腕関節の癒着の治療に関して説明します。 ■ 疼痛治療と癒着 肩甲上腕関節の拘縮において、治療を妨げる最大の要因は「痛み」です。その多くは、肩峰下滑液包、三角筋下滑液包、腋窩神経、上腕二頭筋長頭周囲の滑液包などに由来します。拘縮治療において、これらの痛みを制圧することができれば、可動域治療を進めやすくなります。 発症から2週間以上経過して慢性化しつつある痛みの殆どは「癒着」によって起こっており、癒着をリリースすることによって解決が可能です。先日、大阪でのセミナーで、肩痛を訴えて治療デモを希望された30歳代の女性セラピストの場合、肩屈曲120°で数カ所に強い痛みがありました。上腕二頭筋長頭と大胸筋との癒着のリリース、三角筋後部線維と棘下筋上の脂肪体とのリリース、棘下筋・小円筋深層の棘上神経のリリースの3つにより、肩屈曲中の痛みは消失して可動域は150度に改善し、あとは可動域治療のみという状態に持ち込むことができました。 上記のように疼痛消失まで一度に進めることは容易ではありませんが、疼痛のメカニズムが「癒着」であることがわかることにより、薬や物理療法、運動療法の効果が限定的であることも理解できるようになります。翌日には元に戻ってしまうような持続性の乏しい治療法を止めて、持続的効果が得られる治療法に集約していくことができます。 ■ 肩甲上腕関節の可動性治療 肩甲上腕関節へのアプローチは大きく分けて後部・腋窩部・前部・上方の4つに分類されます。 1)後部 三角筋後部線維・上腕三頭筋・肩甲上神経・腋窩神経・棘下筋・三角筋間の脂肪体などが含まれます。これらを順次リリースして関節包を癒着から解放し、その上で肩後方関節包をストレッチして最大限拡張させます。これにより、水平内転時の後方組織に十分な拡張性が生まれ、水平内転によって起こる烏口突起インピンジメントが改善に向かいます。 2)腋窩部 関節包に癒着する小円筋・上腕三頭筋長頭・肩甲下筋を完全にリリースします。特に上腕三頭筋長頭と上腕骨の間に関節包(inferior porch)が挟み込まれるように癒着している場合があるため、関節包の上腕骨側と長頭側の両方をリリースすることが必要となります。その上で、肩甲下筋の下縁と関節包との間をリリースして、肩甲下筋下縁を上方に滑走させるようにします。これらにより、下部関節包が本来の長さを取り戻すことになり、外転や挙上時の骨頭の求心性を保てるようになります。 3)前部 肩関節前部では、三角筋前部線維、大胸筋、上腕二頭筋長頭、短頭、広背筋、大円筋、肩甲下筋、さらには烏口上腕靭帯、結節間靱帯、腕神経叢およびその遠位の末梢神経などがすべて拘縮状態に陥ります。水平伸展可動域および前額面上での外転可動域を確保するには、これらを順次リリースしていくことが必要となります。この際、大胸筋の深層では多数の組織と交差しつつ癒着していることが多いので、大胸筋が烏口突起の上方にまで滑走できるようになるまでしっかりとリリースすることが必要です。 4)上方 上方では、一般的にもよく言われているように肩峰下スペースが重要となります。肩峰下滑液包と肩峰、肩鎖靭帯からのリリース、肩峰下滑液包と棘上筋のリリース、棘上筋と関節包のリリース、三角筋と三角筋下滑液包のリリースなどが含まれます。滑液包が腫れ上がっている場合でも、滑液包と三角筋や肩峰、肩鎖靭帯との癒着をリリースすることで滑液包内への刺激が減るためか、痛みが軽減されることが頻繁に経験されます。基本的に滑液包の外側の癒着には炎症はないものと捉えてリリースすることができます。滑液包内の炎症については、医師とステロイド注射などを検討します。 これらのいずれかの箇所、もしくは全箇所かもしれませんが、どこの癒着により運動が制限されているかを確認し、正確な治療をすることでスッキリと肩があがるようになります。 ■ 治療に悩んでいるセラピストへ 冒頭にも述べましたが、肩関節の治療で悩んでいるセラピストは多くいると思います。それと同じく、もしくはそれ以上、肩関節の可動域制限で苦しんでいる患者様もいます。肩関節の治療で悩んでいるセラピストの皆さん、是非一度、この記事を参考に臨床に取り組んでみてはいかかですか? 肩関節だけの特別な組織間リリースのセミナー開催が決定しました。<特別編>としたのは、今回限りの開催となるかもしれないセミナーです。治療に悩んでいる方、この記事の内容をもっと詳しく知りたい方、リリースを極めたい方、この機会に是非ご参加下さい! 皆様のご参加をお持ちしております。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- ※セミナーは昨年度オンラインにて開催されました。 現在、弊社運営のサイトにて、昨年度のセミナー動画をご購入可能です。 サイトはこちらから ⇒ https://kokokara.online/ サイト内の徒手療法→<関節疾患>組織間リリース2020 というページより購入できます。 ---------------------------------------------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------------------------------- <関連セミナー:オンライン動画> ■KOKOKARA.ONLINE:組織間リリース2020 第6回肩関節Ⅰはこちら https://kokokara.online/programs/j-isr2020-shoulder1?categoryId=84877 ■KOKOKARA.ONLINE:組織間リリース2020 第7回肩関節Ⅱはこちら https://kokokara.online/programs/j-isr2020-shoulder2?categoryId=84877 ----------------------------------------------------------------------------------------------
今年度の下半期に,特別編として限定的に開催する「組織間リリース<特別編>肩関節」の内容をお知らせします。 <目的> ・重度の肩関節拘縮の治療において、確実に拘縮の要素である癒着を解消しながら治療を前進させられるようになる。 ・軽度の肩関節拘縮(肩関節疾患)の治療において、可動域を制限している要素を速やかに見つけ、それを即時的に解消させられるようになる。 ・腕神経叢を正確に触診できるようになり、胸郭出口症候群の治療を習得すること。 <プログラム(予定)> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1日目:肩甲胸郭関節の可動性 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・精密触診の基礎 ・ISRの基礎 ・肩甲骨外側 広背筋、大円筋、前鋸筋、肩甲下筋 ・肩甲骨内側 菱形筋、滑液包、肩甲背神経、前鋸筋、胸郭 ・肩甲骨上方 僧帽筋、肩甲挙筋、後斜角筋、第1肋骨、内上角滑液包 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2日目:屈曲・内旋可動域獲得・対症療法2 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・肩峰下スペース 肩峰下滑液包、三角筋深層、烏口肩峰靭帯 烏口上腕靭帯、棘上筋、関節包 ・後部拘縮 三角筋後部線維、腋窩神経、上腕三頭筋外側頭 小円筋、棘下筋、関節包後部 ・腋窩拘縮 上腕三頭筋長頭、腋窩関節包、上腕骨頭 肩甲下筋、関節包 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3日目:外旋・外転可動域獲得・対症療法2 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・前部拘縮 大胸筋、小胸筋、上腕二頭筋短頭、烏口腕筋 上腕二頭筋長頭、結節間靱帯 広背筋、大円筋、肩甲下筋 ・肩周囲の末梢神経の触診とリリース 神経根(C5-8))、腕神経叢 副神経、肩甲背神経、肩甲上神経 腋窩神経、尺骨神経
2019年4月に、クリニカルスポーツ理学療法(CSPT)の札幌会場での開催が決定いたしました! 今回は胸郭・肩関節編を各1日ずつ開催いたします。 ■開催日時・内容 2019年4月28日(日):胸郭編 2019年4月29日(月・祝):肩関節編 ※各日9:00〜16:00の予定です。 ■会場 札幌市教育文化会館 研修室301 札幌市営地下鉄東西線 「西11丁目駅」 1番出口より徒歩5分 CSPT札幌会場については、本日よりお申し込みの受付を開始しております。 お申し込みは こちら から! 皆さまのご参加、心よりお待ちしております。
引き続き、肩甲上腕関節の可動域回復のための組織間リリースについて書きます。 1)後部 後方タイトネスや後方関節包タイトネスとも呼ばれます。主な構成要素としては、三角筋後部線維、棘下筋、小円筋、上腕三頭筋、肩甲上神経、腋窩神経、関節包、そして棘下筋・三角筋間の脂肪体が含まれます。 腹臥位で、上肢をベッドから下垂させた状態とします。三角筋後部線維を肩甲上神経と腋窩神経をこするようにしてリリースします。その上で、棘下筋、小円筋、上腕三頭筋から三角筋後部線維をリリースして、外転位で肩甲棘のレベルにまで上方に移動させます。 次に上腕三頭筋から腋窩神経を内側に向けてリリースし、その上で上腕三頭筋から小円筋を内側に向けてリリースします。これにより、上腕三頭筋を伸張できる状態が得られます。 その後、関節包から小円筋と棘下筋を内側に向けてリリースします。これらを最大限リリースするには、背臥位・肩屈曲位で全く緊張しない状態にまで近位に滑らせるようにします。 以上を行った上で、四つ這い位での肩後方関節包ストレッチ(All-fours posterior capsular stretch: APS)にて関節包を最大限拡張させます。 2)腋窩 腋窩部では、関節包に癒着する小円筋、上腕三頭筋長頭、肩甲下筋を関節包から完全にリリースします。これにより、inferior porchの容積が拡大し、挙上に伴う上腕骨頭の下方への滑り込みを再獲得させます。結果として、上腕三頭筋に上腕骨が密着した状態を取り戻し、「ふりそで」状態を解消させます。 3)前部 肩関節前部には、三角筋前部繊維、大胸筋、上腕二頭筋長頭、短頭、広背筋、大円筋、肩甲下筋、さらには烏口上腕靭帯、結節間靱帯、腕神経叢およびその遠位の末梢神経などがすべて拘縮状態に陥ります。 手順はかなり複雑ですが、概ね以下のような順序でリリースを行います。 ・三角筋前部線維の大胸筋に対する外側へのリリース ・大胸筋遠位部の上腕二頭筋長頭、短頭、広背筋から上方へのリリース ・大胸筋の小胸筋・烏口突起上での内側へのリリース ・上腕二頭筋長頭と結節間靱帯 ・烏口腕筋と広背筋 ・広背筋と大円筋、肩甲下筋 ・尺骨神経と烏口腕筋 ・腕神経叢と広背筋、小円筋、第2,3肋骨、鎖骨下筋などのリリース ・肩甲下筋と関節包 以上のリリースを順次進めていくことで前方の組織の滑走性が改善するとともに弛みが顕在化する場合もあるため、事前に後方拘縮を十分に解消させておくことが必要です。 4)上方 上方では肩峰下スペースでの癒着のリリースが必要となります。まずは肩峰下滑液包と肩峰、肩鎖靭帯からのリリース、肩峰下滑液包と棘上筋のリリース、棘上筋と関節包のリリース、三角筋と三角筋下滑液包のリリースなどが含まれます。 肩峰下滑液包と肩峰とのリリースには、背臥位で肩伸展位で行うリリースすることにより、屈曲位における肩峰後部リリースと同じ意味を持つようになります。すなわち、狭い肩峰下スペースに指を滑り込ませるのではなく、肩峰下から滑液包が出てきたところでリリースを行う方が容易です。 ※こちらの記事は、株式会社GLAB代表の蒲田和芳のFacebookより転載しております。 ◆お知らせ◇ --------------------------------------------------------------------------------- 肋骨の変形に悩んでおられる方へ --------------------------------------------------------------------------------- 肋骨の変形でお悩みの方には、 リアライン・コア をお勧めします。 コレは、骨盤と肋骨を理想的な位置関係に整えながら筋肉を 鍛えることができる運動補助具です。 アスリート、産後の女性、腰に不安のある方など 多数のユーザーがおられますので、安心してご使用ください。 1週間単位での レンタル も可能です。 レンタルのお申込みはこちらから https://realine.info/realine/rental-flow ---------------------------------------------------------------------------------- ---------------------------------------------------------------------------------- <関連セミナー:オンライン動画> ■KOKOKARA.ONLINE:組織間リリース2020 第6回肩関節Ⅰはこちら https://kokokara.online/programs/j-isr2020-shoulder1?categoryId=84877 ■KOKOKARA.ONLINE:組織間リリース2020 第7回肩関節Ⅱはこちら https://kokokara.online/programs/j-isr2020-shoulder2?categoryId=84877 ----------------------------------------------------------------------------------
オーバーヘッドアスリートの肩関節の可動域が制限されているとき、手間はかかりますが骨盤からととえていく必要があると考えています。骨盤マルアライメントやforce closureの不良は大殿筋から同側の胸腰筋膜に緊張伝達が起こっていることがあり、そのままだと荷重により広背筋の緊張を引き起こしてしまいます。このため、正常な荷重伝達とforce closureを回復させて、大殿筋の緊張が対側の胸腰筋膜に伝達される状態を確保しておくことが望ましいと考えられます。 次に、胸郭と骨盤との間の可動性を低下させる原因となるのが広背筋と腹壁(内腹斜筋)との癒着です。これにより胸郭は腸骨稜に引き寄せられ、胸郭と骨盤間だけでなく、胸郭内の可動性を著しく低下させている場合があります。 その次に、腹筋群の癒着。特に内腹斜筋と腹横筋間の癒着により、中位・下位胸郭の拡張性が制限され、後屈や回旋に大きな影響を及ぼします。もちろん外腹斜筋と肋骨弓との癒着、腹直筋と内腹斜筋との癒着なども治療対象とします。 拡張性が得られても胸郭の自由度を制限する要素とs知恵、側面における前鋸筋と広背筋、前鋸筋と長胸神経音癒着が挙げられます。これらは胸郭内運動を制限し、さらに肩甲帯や肩甲上腕関節の動きにも直接的な悪影響を及ぼします。 肩甲骨外側では、側臥位での睡眠習慣によって、広背筋と前鋸筋や大内転筋が癒着を起こしやすく、上方回旋を外側でブロックする役割を果たしています。これらの筋間を割創させ、広背筋を胸郭から離開させずに上方回旋を行える環境を整えます。場合によっては、胸背神経が広背筋と前鋸筋の滑走性を低下させていることもあります。 次に、肩甲骨内上角では、僧帽筋、肩甲挙筋、棘上筋にまたがる滑液包の存在、そして肩甲挙筋と後斜角筋や第1、第2肋骨およびその間に介在する内上角滑液包の癒着で、上方回旋に伴う内上角の下方への移動が制限されています。一方、肩甲骨内側では菱形筋と肩甲背神経の癒着により肩甲骨内転・下方回旋の機能が低下しやすく、上方回旋開始時のsetting phaseを失わせてしまいます。 前面では、大胸筋と上腕二頭筋短頭、長頭、広背筋停止部、烏口突起、小胸筋との癒着により、上方回旋に伴う大胸筋の内側への移動が制限されやすく、大胸筋が遠回りすることによる上方回旋および肩関節外転の制限が起こりやすい状態になります。大胸筋の内側への滑走性を改善して、これらの制限を取り除く必要があります。 さらに、腕神経叢は鎖骨下筋、第2,第3肋骨、小胸筋、広背筋などを接触しながら外側に向かうため、これらとどこで癒着を起こしてもおかしくない状態にあります。そして、腕神経叢の癒着は筋の癒着よりもさらに顕著な伸張性の低下を引き起こします。 このあと、肩甲上腕関節の可動性に対して、後部、腋窩部、前部、上部と滑走性の改善の治療を勧めていきます。手間のかかる作業ですが、これらを前部解決すると、高校生のようなしなやかな肩が蘇ります。 ※こちらの記事は、株式会社GLAB代表の蒲田和芳のFacebookより転載しております。
先日、大相撲力士の肩の治療を行う機会がありました。 当初から痛みの局在がわかりにくく、本人も上手く説明できない様子でした。Neer陽性でしたが、棘上筋の下で関節唇を触診しても疼痛は誘発されず、関節内への局麻で関節唇損傷の可能性を除外した上で治療を進めることにしました。 屈曲時の痛みは ・肩後方(三角筋後部線維・棘下筋間の脂肪体) ・肩上方(SABと肩峰との癒着 ・腋窩部(上腕三頭筋長頭と腋窩神経の癒着) ・肩甲骨外側部の放散痛(胸背神経) などの治療により徐々に痛みの局在が鮮明になってきて、最終的に一番痛みの強い部位として三角筋中部線維に2本の硬いtight bandを発見。三角筋下滑液包との癒着のリリースにより、痛みがNRS1に軽減し、外転MMTが4から10になりました。 ちなみに、MMT10は私が立ち上がり、後ろ足を壁につけて重心を下げ、両腕を伸ばしてようやく拮抗できるくらいの筋力をを意味します。(→今日作った基準) 自分自身の肩の3倍位のボリュームのある肩関節だったため、深部を丁寧に探り当てることを意識していましが、実は重要な治療ターゲットは三角筋下滑液包という眼の前の浅いところに存在したことになります。 一方で、胸背神経の症状は初体験でした。大円筋と広背筋に癒着していた胸背神経を探り当て、上方に向けてリリースすることで解決できました。 ※こちらの記事は、株式会社GLAB代表の蒲田和芳のFacebookより転載しております。
生まれてから数万時間にもおよぶ背臥位という姿勢保持はこの神経を菱形筋に癒着させ、菱形筋の機能を低下させます。そして、肩甲骨下方回旋における菱形筋の役割を失わせ、肩甲骨の安定性を低下させます。 それとともに不快な背中の痛みの原因にもなります。その痛みをなんとかしようと、柱の角に背中をこすりつけた経験はありませんか? 私は年に3回ほど、柱を探す時期があります。 ちょっと剥がしてみると、生活が一変するような快適な背中を取り戻せるかもしれません。 ※こちらの記事は、株式会社GLAB代表の蒲田和芳のFacebookより転載しております。
SLAP修復術後の挙上時に、肩周囲の数カ所に痛みが残存した症例。具体的には、 ・上腕二頭筋長頭 ・三角筋・三角筋下滑液包間の癒着 ・肩鎖靭帯・肩峰下滑液包間の癒着 ・僧帽筋上部線維・棘上筋滑液包の癒着 のリリースにより、これらの疼痛はほぼ消失。 その上で、斜角筋間から鎖骨にかけての腕神経叢が強く緊張して圧痛が認められました。上肢への放散痛はなかったものの、腕神経叢の過緊張による疼痛だと推測し、これに対して ・C5-C8頚神経に対する前斜角筋リリース ・上記に対する中斜角筋リリース により緊張は大幅に軽減されました。 しかし、挙上時の鎖骨下部の痛みが残ったため、 ・大胸筋と腕神経叢との癒着をリリース ・鎖骨下において腕神経叢を外側に向けてリリース により挙上時の痛みが全て消失。 上肢への神経症状がなくても、鎖骨下への腕神経叢の癒着が引き起こす痛みについても留意すべきと思った一例でした。 ※こちらの記事は、株式会社GLAB代表の蒲田和芳のFacebookより転載しております。