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腰痛にも関連する「胸郭」のリアライン

胸郭の仕組み・役割

胸郭の仕組み・役割

胸椎と肋骨から構成される胸郭は、人体の骨格の中でも特に重要な部位です。野球選手や、走ることをメインとするスポーツ選手にとっても、胸郭の拡張制限はパフォーマンスを左右すると考えられます。

胸椎は上位(Th1-6)、中位(Th7-10)、下位(Th11-12)に分かれ、上位胸郭は上下に動くのに対し、中・下位胸郭は左右に拡がる動きをします。
しかし、円背姿勢・胸椎後弯増大などにより胸郭の拡張が制限されると、胸椎の可動性は低下。胸椎の可動性低下は腰椎の過剰運動を引き起こし、腰部の負担増大へとつながってしまいます。

胸郭アライメントの分類と治療方法

腰椎異常運動と骨盤・胸郭アライメント

左右で対称に拡がる胸郭の動きが失われると、腰椎中間位での後屈が不可能になり、腰椎回旋位での後屈の運動につながってしまいます。このように椎間関節が平行でない状態での運動の繰り返しは、運動分担のバランスが崩れ、局所的なストレス増加を引き起こしてしまうのです。
胸郭のアライメントは、リアライン・コンセプトに基づき下記の表のように「上位胸郭伸展不全」と「下位胸郭横径拡張不全」に分類することができます。さらに、それぞれに対して異なるアプローチで治療を行います。

上位胸郭伸展不全

  • 胸郭下制(チェストグリッピング、下位胸郭皮下組織滑走不全、上部腹筋群滑走不全)
  • 鎖骨・僧帽筋上皮下組織滑走不全
  • 肩甲胸郭滑液包癒着

肩甲胸郭関節のアライメントと原因

  • 下位胸郭の異常キネマティクス
  • 胸郭の非対称性
  • チェストグリッピング(下位胸郭皮下組織滑走不全、上部腹筋群滑走不全)
  • 下後鋸筋筋機能不全

胸郭アライメントの症例紹介

10代男性 診断名:腰痛(画像所見上の異常なし)

スポーツ

  • 硬式野球(ポジション:ショート、右利き)

現病歴

  • 高校に入って、部活動に取り組み始め、3か月が経過。腰に張り感があったが、夏合宿で増強し、投球動作での痛みが特に強く出現。

現病歴

  • 右野球肘

評価

疼痛動作

前屈時痛+、後屈時痛++、投球動作時痛++(コッキング相)

疼痛部位

L3-5の最長筋、腸肋筋

一般的な評価

SLR問題なし(両側で各45°とハムタイトネス+)、右股関節伸展制限、右肩甲骨前傾・外転位、腹部・腰部過緊張

静的アライメント評価

右下位胸郭拡張性低下

動的アライメント評価

後屈時に右胸郭の拡張不十分⇒右胸郭の拡張の徒手誘導で疼痛減弱(疼痛減弱テスト)

後屈中の非対称下位胸郭アライメント

※後屈中の非対象下位胸郭アライメントの評価例

問題点

右下位胸郭拡張性低下による胸椎伸展可動性低下と、腰椎過伸展による脊柱起立筋群の筋スパズム

目標

  • 下位胸郭拡張性、胸椎伸展可動域の向上
  • 下後鋸筋機能改善

治療プログラム

  • 胸郭上皮膚のリリース
  • 腹直筋のリリース

経過

治療後、胸郭の対称な運動が獲得され、投球動作時の疼痛消失。

考察

今回の症例は高校生野球選手であり、スポーツ活動中の疼痛が主訴であった。股関節周囲の柔軟性低下など問題はあったが、評価に基づき、胸郭のリアラインにより動作時の疼痛は消失した。今回の症例のように急激な練習強度の増強、トレーニング量の増大によって胸郭、胸椎の可動性が失われ、腰部痛をきたす症例はしばしばみられる。しかし、そんな症例を前にしたときに腰部へのアプローチのみで十分であろうか。一時は、腰部の筋が緩み、改善したかにみられるかもしれないが、きっとその症例は再発するであろう。今回の症例についても、リリースで痛みをとることはできたが、再発防止には下後鋸筋、ほかトレーニング、また股関節柔軟性向上は必要であろう。

胸郭アライメントの評価と治療法を学ぶ

胸郭の拡張制限・胸椎の可動性低下は、腰部への負担を増大させ、腰痛を引き起こすことがあります。この腰痛は胸郭アライメントのゆがみによるものなので、腰部へのアプローチでは根本的な解決ができないことがほとんどです。
クリニカルスポーツ理学療法(CSPT)の「胸郭編」では、胸郭の異常運動の評価から治療までのコンセプト、技術を紹介しています。胸郭の解剖から、腰痛、肩痛との関連を含めた病態、評価、治療を明確に示していきます。
なかなか腰痛が改善しないという患者様がいらっしゃる方に、ぜひ受講していただきたいセミナーです。

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