リアラインコラム
腰痛や骨盤痛の原因・メカニズムを正しく特定していますか?
若いアスリートからお年寄りまで、多くの日本人を悩ませる腰痛。
数ある関節疾患の中で、その有訴率は男性で1位、女性で2位であり、その59%は3か月以内に再発、さらに20-25%が慢性化してしまうと言われています。
アメリカでは、腰痛による損失額は年間880億ドルであるとされています。
このように社会的・経済的に大きな影響を与えている腰痛は、原因不明と診断されてしまうケースが多いという特徴があります。
腰痛を訴える患者さんの中で、あるいはそれ以外に、骨盤痛を持つ患者さんはどれだけいるのでしょうか?
腰痛よりもさらに診断方法が確立していない骨盤痛の有病率は、はっきりと言及できないのが現状です。
腰痛は、以下の3つに分類されます。
Acute low back pain
発症から2~4週
組織損傷を伴う痛み(一次痛)と炎症性の疼痛(二次痛)がある
Acute low back pain
2~4週から12週
急性腰痛の長引いたもの
Chronic low back pain
12週あるいは半年以上痛みが持続するもの
これまでの先行研究では、腰痛と姿勢の関連性は示されていないものの、腰痛と非対称性の腰椎運動との関連を示した研究はあります。
また、腰痛の原因として腰椎捻挫・腰部挫傷(70%)、椎間板ヘルニア(4%)、腰椎すべり症(2%)と器質的な要因が挙げられていますが、その一方で非特異的腰痛とされる、画像所見・神経学的所見ともに陰性となる症例が多いことも事実です。
そして、仙腸関節に対する客観的な評価方法が確立されていないことも、また腰痛の原因特定における限界の一つと考えられます。
腰部はストレスが集中しやすい部位です。
体幹部は家のつくりに例えられます。
胸郭が屋根、骨盤が土台となる基礎、そしてその間の腰椎は柱。
屋根や基礎に歪みが生じると、支える柱に負荷がかかってしまいますね、
したがって、胸郭や骨盤の歪みの影響を受ける腰部には、ストレスが集中してしまいやすいのです。
また、胸郭や骨盤、股関節といった複数の部位の問題が合わさって、腰部の疼痛や機能不全を引き起こしているケースも多いのです。
現病歴 : 特に誘因なく、ある朝起きたときに腰部・仙腸関節の痛みが出現。
日常生活動作における痛みの消失
今回の症例は、腰痛の原因として骨盤アライメント不良と胸郭拡張性低下の2つの問題を有する症例であり、一方のアライメント改善だけでは、疼痛の消失には至りませんでした。
臨床の現場では、痛みの部位とそれぞれの痛みに対する原因について正確な評価が必要であり、それに基づいた的確な治療が求められます。
様々な患者さんの症例に対応できるようになるためには、小手先の知識・テクニックではなく、基盤となるコンセプトをきちんと習得することが必須となります。
クリニカルスポーツ理学療法(CSPT)の「腰痛・骨盤痛編」では、アライメントおよび機能評価に基づき、腰痛・骨盤痛の原因を特定して治療を行う一連をご紹介します。
複数の要因が絡み合うケースが多い腰痛・骨盤痛において、そのメカニズムを正しく理解したうえで、包括的な治療法を習得できるセミナーとなっております。
同じCSPTシリーズの骨盤編や胸郭編よりも、これは「痛み」に焦点を当てた内容になっているのがポイント。
臨床により近づいた内容で、現場にすぐに生かすことができます。